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顎関節症・歯ぎしり食いしばり
CT外来(顎関節症)
歯科を受診したときに「思わぬ場所に、気づいてなかったむし歯があると知らされて驚いた」という経験はありませんか?
実は、歯科の病気は目で見て発見できたり、痛みが出て気が付くものばかりではありません。むしろ、痛みを感じないまま、隠れたところや見えないところで知らないうちに広がるケースの方が問題は大きいのです。
そこで歯科医院では、一般的に見えないところを把握するために「レントゲン撮影(エックス線検査)」を行います。
代表的なものは、パノラマX線写真やデンタルX線写真ですが、これらの装置では2次元的画像であるため、影に入ってしまう部分(表と裏のような関係の部分)は画像が重なってしまい、診査・診断に限界がありました。
当院では、精密検査機器として「歯科専用のCT」を導入しました。歯科用CTは、3次元(水平・垂直・奥行)で撮影出来るため、見たい断面を自在に表示しながら、今まで十分ではなかった事項についても、より詳細かつ正確に診断出来るようになりました。
歯科用CTで撮影を行なうメリット
- 見えにくい、わかりにくい部分を具体的に確認出来る
- 治療時間&費用の短縮&削減⇒患者さんの負担軽減
- 難易度の高い場合でも手術出来る
歯科用CTで撮影すると、歯の内部や骨の中など直接見えないところまで把握出来るので、正確で必要最小限の治療ができます。また、さまざまな角度から病気の進行を立体画像で表示出来るので、患者さんご自身にも病状を把握して頂きながら治療を進めることが可能になりました。
CTを完備していない医院では、大学病院・提携クリニックでの撮影が必要なため、撮影までの期間が長くなったり、別途日程の調整が必要な場合があります。当院はCTを完備していておりますので、撮影や診断が速やかに行えるだけでなく、他病院への紹介状料や撮影依頼料が不要な分、患者さんの負担費用も低コスト(¥15,750/税込)に抑えることができます。
撮影時間は、約19秒という短時間です(撮影部位や撮影画像等によって異なります)。CT撮影は保険外となりますが、正確な治療計画を立てるために役立てておりますので、ご希望の方は、スタッフにお声掛けください。
さまざまな治療にCT撮影が活躍する理由
親知らず【歯茎に埋まっている歯の診断】
親知らずの抜歯が、より安全に!
歯茎の奥に埋まっている歯も、3D画像によって、あらゆる方向から観察できます。親知らずなどの神経の位置が明確に認識出来るようになったため、これまで以上に安全な抜歯が可能となりました。
歯の根【歯の形の診断】
今まで発見できなかった微小な判別が可能
歯の根の形態や数、曲がり具合、方向や長さなどを立体的にとらえることが出来るので、歯の根の治療(根管治療)においても大きな役割を果たします。
【歯の生えてくる方向の診断】矯正治療で完成具合を確認
歯が生えてくる状況について、その位置・方向・歯の完成具合などに異常がないかどうか、3D画像で確認出来るようになりました。矯正治療においては、特に歯の根の移動状況や支える骨の具合を把握して、治療の安全性を高めます。
【歯周病の診断】歯周病の進行具合が明確に
歯周病で歯を支える骨がどのくらい失われているのか?あるいは治療を行なったことによって、どの程度あごの骨が再生しているか?などを立体画像で視覚的に確認し、歯周病の進行具合や治療効果が、より明確に把握出来るようになりました。
インプラントの診断【インプラントの診断】
コンピュータ上で骨を再現出来る
下あごの神経の場所が把握出来るため、どの場所に、どのくらいの太さの物(インプラントの本体)を、どのくらいの深さまで埋め込むことが可能なのかがわかります。
これまでの治療では、歯科医が持つ経験や勘を頼りにインプラントを入れていたため、過去には、誤りや事故が生じるケースも見受けられました。ですが、手術の前にあらかじめCT撮影を行なうことで、より精度の高いインプラント治療が可能になっているのです。
【あごの骨の診断】顎関節症の診断と確認
CT画像によってあごの骨も立体的に撮影することが出来るので、患者さんご自身にも、病状を正しくご理解頂くことが出来るようになりました。
顎関節症について
「口が開けにくい」「あごを動かすと、あごの関節部や咀嚼筋などが痛む」「あごを動かしたときに”ゴリゴリ” “カクンカクン”という関節音がする」という症状でお悩みの方はいませんか?
これらは、顎関節症の症状です。
口が開かない、開きづらいという症状は、頭蓋骨の側面の骨(側頭骨)と下顎頭(顎関節)の間にあってクッションの役目をしている「関節円板」のズレや変形によっておこります。
その原因として指摘されているのは、生まれつきの歯並びの悪さ、歯に装着された被せ物の不適合、噛み合わせへの考慮が不足した矯正治療など、噛み合わせに関係するさまざまな問題です。また、ストレスや歯ぎしりなども要因のひとつといわれています。
噛み合わせは、実はとってもデリケート。上の奥歯がわずか数十ミクロン低かっただけで、ひどい顎関節症に悩まされる患者さんもいます。口の開閉やあごの動きに違和感があったら、歯並びや噛み合わせを調べるため、ぜひ早めにご来院ください。
歯ぎしり・食いしばり
「家族から、夜間歯ぎしりしていると指摘された」
「朝起きるとあごが痛い、だるい」
最近、このような歯ぎしりや食いしばりで悩まれている方からの相談が増えてきたように思います。
「歯ぎしり」というと、歯や顎に負担をかける悪い習癖というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、実は歯ぎしりは子供から大人までほとんどの人がしているもので、ストレスを発散させて心身の健康を保つという重要な役割も担っています。
ストレスを発散できずに抱え込んでしまうと、身体の治癒能力が低下してしまったり脳が萎縮してしまうなどといったさまざまなトラブルを引き起こしてしまいますので、夜間の歯ぎしりは人間が社会生活を行ううえで必要な行為といえるでしょう。
しかしながらギシギシガリガリと大きな音をたてたり、一部の歯が欠けたりすり減ったりしている場合は「悪い歯ぎしり」と考えられ、放っておくと顎関節症を引き起こしてしまったり、頭痛や肩こり、倦怠感などといった全身の問題に発展してしまうことも少なくありません。
まずはご自身の歯ぎしりのタイプをしっかりと診断したうえで、適切にコントロールしてあげることが重要です。
「良い歯ぎしり」と「悪い歯ぎしり」
「良い歯ぎしり」とは、歯ぎしりをした時に奥歯に強い力が加わらない歯ぎしりを言います。
良い歯ぎしりの場合、左右に顎を動かしたときに上下の糸切り歯(犬歯)だけが噛み合い奥歯は噛んでいない状態になります。
歯は縦方向の噛む力には強いけれども横方向に揺さぶられる力には弱いという特性があるため、横の力が加わった時には長くて丈夫な歯根をもつ犬歯がその力を受け止めて分散させることで、他の歯に負担がかからないようにしてるのです。
この状態を専門用語では「犬歯誘導(けんしゆうどう)」といい、良い噛み合せの大切な要因ともなっています。
ところが、噛み合わせに問題があって犬歯誘導が確立していない状態だと、奥歯に横方向の力が直接かかるため「悪い歯ぎしり」になってしまいます。
また犬歯は顎を左右に動かした時に下顎の動きを制御するという大切な役割も担っていますが、噛み合わせが悪く犬歯が本来の役割を果たせていたい状態の場合、顎の動きに制御が効かないためより広範囲に歯が削れてしまうことになります。
歯ぎしりや食いしばりの時にかかる力は体重の約2倍以上。一晩の就寝中で短い人でも30分、長い人では数時間にわたり歯ぎしりを行っているとされています。
「悪い歯ぎしり」が習慣化してしまっている場合は歯へのダメージも相当なものになりますから、なるべく早めに対策をして「良い歯ぎしり」へ修正してあげる必要があります。
歯ぎしりのパターンを調べる「ブラックスチェッカー」
「良い歯ぎしり」か「悪い歯ぎしり」かを簡単に調べる方法として、ブラックスチェッカーというシートがあります。
ブラックスチェッカーは色のついた薄いシート状のもので、寝る時に歯に装着して使用します。
ブラックスチェッカーを装着して歯ぎしりをすると擦り合わさった部分の染料が剥げるため、剥げた部分の位置や程度を診ることで悪い歯ぎしりがどうかをチェックすることができます。
「良い歯ぎしり」の場合は塗料が剥げるのは主に前歯・犬歯になりますが、「悪い歯ぎしり」をしている場合、前歯だけではなく奥歯の塗料も剥げてしまいます。
まずはご自身の歯ぎしりのパターンを把握することで、より適切な対処法を検討することが出来るようになります。
歯ぎしり・食いしばりの3つのタイプ
歯ぎしりや食いしばりの事を専門用語では「ブラキシズム」と呼びますが、ブラキシズムにはその歯の合わせ方によって大きく3つの種類があります。
中には音の出ない歯ぎしりや、日中に無意識のうちに行われているものもあり、本人はもちろん周りの人も気づかないケースも多々あります。
1、グラインディング(歯ぎしり)
夜中、寝ている時に起こることが多いもので、一般的に「歯ぎしり」というとこのタイプのものを指します。
上下の歯を強く噛んだ状態で横に滑らせこすり合わせるため、ギシギシギリギリと音がする場合が多く、比較的周りの人に気が付いてもらいやすい症状と言えるでしょう。
悪い歯ぎしりをしている場合、歯の「すり減り」が激しいのが特徴で、進行すると歯の表面の硬くて白いエナメル質が削れてしまい、中の黄色い象牙質の部分が見えてしまうほどの人もいます。
症状が進行してしまう前に、早めの対策をすることが必要です。
2、クレンチング(食いしばり)
一般的には「食いしばり」や「噛みしめ」と表現されるタイプで、上下の歯をギューッと強い力で噛みこむタイプです。
このタイプの特徴は、夜寝ている時にもそうですが、昼間でも起こるという事です。
また、ほとんどの場合は音が出ませんので、周りの人も本人も、気が付きにくいタイプと言えるでしょう。
クレンチングをしている人は頬の筋肉に力が入るため堅く膨らんで見えたり、お口の中に骨隆起と呼ばれる骨が膨らんでできたコブのようなものがあったりします。
また歯が割れやすいという方もこのクレンチングタイプの方に多く見られます。
3、タッピング
上下の歯をぶつけ合って、カチカチと噛み合わせるタイプです。
タッピングは歯ぎしりのタイプとしては比較的珍しく、歯や顎へのダメージもグランディングやクレンチングと比べればそれほど大きくはありません。
寝ているときも起きている時も起こりますが、カチカチと音が鳴りますので自覚しやすいタイプと言えるでしょう。
悪い歯ぎしり、食いしばりが引き起こす悪影響
歯にヒビが入ったり、割れてしまったりする
歯に過度のねじれや横の力がかかることで亀裂が生じます。その亀裂は、目に見えるほど大きなものから、肉眼では確認できないほどの小さなものまでさまざまです。
その小さなヒビから虫歯菌が侵入して虫歯になってしまったり、最悪の場合は歯が割れて、抜歯しなければいけなくなってしまうケースもあります。
いったん歯にヒビが入ってしまうと、自然に治ることはありませんし、むしろどんどん大きくなってしまいます。少しでも早く治療をし被害を最小限にとどめるとともに、ヒビが出来てしまった原因を改善することが大切です
歯の根元が削れ、知覚過敏を起こす
くさび状欠損とは、食いしばりや歯ぎしりなどの強い咬合力が原因で歯と歯茎の境目(歯頚部)に引っ張り応力が集中し、くさび状に発生する欠損のことです。
歯の表面を守るエナメル質が欠損してしまうため、冷たいものがしみるなどの知覚過敏の症状も出てくることが多くあります。また、歯の生え際の部分に発生するために目に付きやすく、審美的な問題にもつながってしまいます。
対処法としては、プラスチック(CR)などで欠損部分を埋めて修復するという手段が考えられますが、その歯にかかる力のコントロールを行ってあげないとすぐに脱落してしまうことがほとんどです。
くさび状欠損から亀裂に発展し、破折につながるというケースもありますので、なるべく早く原因を追求し、強い咬合力からいかに歯を守るかを考えなければなりません。
歯周病になりやすくなる
歯ぎしりによって過度な力が加わり、歯が揺さぶられると、歯周病菌による炎症がなくても、歯槽骨が少しずつ失われていきます。
ここにさらに、歯周病菌による炎症も加わってしまうことで、歯周病が悪化しやすくなってしまいます。
歯周病の治療を行なっていても、歯ぎしりによって歯槽骨がダメージを受けている状態では、なかなか歯周病が改善しないケースも多々ありますので、歯ぎしりの傾向がある方は歯周病治療と併用して夜間のマウスピースの着用が必要になります。
歯茎に「骨隆起」と呼ばれるふくらみができる
骨隆起とは、歯茎にできるこぶのような硬い骨のふくらみを言います。食いしばりや歯ぎしりが強い方に多く見られる症状で、顎の骨に過度の力が加わり、その刺激によって骨が盛り上がってできると言われております。
骨隆起は痛みを伴うものではなく、また病的なものでもありませんので放置していても問題はありませんが、徐々に大きくなっていきますので、発音や飲食に支障が出るようでしたら切除する必要があります。
ただし、切除してもまた徐々に大きくなってしまうため、マウスピースで歯や骨に過度な力が加わらないよう、守ってあげることも大切です。
歯ぎしり、食いしばりの治療法
噛み合わせ治療
噛み合わせの悪さにより「悪い歯ぎしり(主にグラインディング)」が行われている場合は、噛み合わせの治療を行い「良い歯ぎしり」へ修正してあげる必要があります。
噛み合わせ治療において最も重要なことは、しっかりとした検査に基づき、噛み合わせの位置やズレを正確に数値で把握すること。一見、簡単な事のように思えるかもしれませんが、これはとても難しいことなのです。
事実、噛み合わせ治療はどこの歯科医院でも掲げているかと思いますが、その多くは歯科医師の経験と知識に頼って治療を行なっているのが現状で、データや数値での把握は出来てないことがほとんどです。
噛み合わせの治療法としては矯正治療を行う・被せ物を変えるといった方法がありますが、数値でのゴール設定が明確にできていないと試行錯誤で治療を行うことになり、治療期間が長引いたり、場合によっては余計に症状を悪化させてしまう結果につながることもあります。
当院では、噛み合わせ治療を行う場合には必ずCADIAX(キャディアックス)などを用いた「噛み合わせ総合検査」を行い、客観的なデータに基づいた確実な治療を行うように心がけています。
スプリント療法(マウスピース)
スプリント療法(マウスピース)とは、睡眠時にマウスピースを装着することで、夜間無意識に行われる歯ぎしりや食いしばり、噛みこみで生じる歯への負担を軽減させる治療法です。
マウスピースは歯ぎしりそのものを防ぐのではなく、歯ぎしりによる莫大な力によって歯が破壊されてしまうのを防ぐためのものですので、歯ぎしりや食いしばりの根本的な解決にはなりませんが、症状を緩和するという意味では有効な手段です。
歯ぎしり対策用のマウスピースには市販されてるものもありますが、使い方によっては噛み合わせや歯並びを悪化させてしまう危険性もありますので、歯科医院にてご自身の歯にぴったり合ったものを作成してもらう方が良いでしょう。
保険適用の範囲内で作成できるタイプのものもありますので、3割負担の方でしたら5,000円程度で作成することができます。
認知行動療法
認知行動療法とは、自分が食いしばりをしているという事実に自分自身が気付き、食いしばりをしないよう自ら習慣を修正していく方法です。
例えば、「食いしばらない」などと書いたポストイットを、壁などの日常目にするさまざまな場所に張り付けて置き、そのポストイットを目にしたら歯を離す、という事を繰り返し行い、習慣化させるといった方法です。
食いしばりの癖を治すには、まずご自身が食いしばりをしているという事に気が付くという事が一番のポイントになりますので、うまくいけば半永久的に効果がある治療法と言えるでしょう。
しかしながら、効果の即効性がないことや、本人の努力次第で治療の成果が左右されるので効果が出ない人も多いこと、夜間の歯ぎしりには対応できないというデメリットもあります。