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顎が痛いのは噛み合わせのせい?顎関節症の原因を見極める「境界線」と検査

2026.01.06

2026年1月9日_顎関節症と噛み合わせの境界線|東京の歯科で受けるべき検査とは

「口を開けようとすると、耳の前あたりがズキッと痛む」 「食事のたびに、顎がカクカク、ジャリジャリと鳴って気になって仕方がない」 「朝起きると顎が重だるく、口が指1本分しか開かないことがある……」

 

このような辛い症状に悩まされ、不安な気持ちでインターネットを検索し、当院のブログにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。 あるいは、他院で「顎関節症ですね」と診断され、マウスピースを作ったものの症状が改善せず、「本当にこれで治るのだろうか」と途方に暮れている方もいらっしゃるかもしれません。

 

顎関節症は、日本人の2人に1人が経験するとも言われるほど身近な病気ですが、その原因は非常に複雑です。 特に患者様からよくいただくのが、「私の顎が痛いのは、噛み合わせが悪いからですか?」「歯並びを治せば、この痛みは消えますか?」というご質問です。

 

実は、顎関節症と噛み合わせの間には、密接な関係がある一方で、明確な「境界線」も存在します。 ここを誤解したまま、「とにかく歯を削って合わせよう」「とりあえず矯正しよう」と進めてしまうと、症状が改善しないばかりか、悪化させてしまうリスクさえあります。

 

当院では、痛みを一時的にごまかすのではなく、「なぜ痛くなったのか」という原因の追求を何よりも大切にしています。 この記事では、顎関節症と噛み合わせの知られざる関係性、そして正しい診断のために必要な「精密検査」について、専門家の視点で詳しくお話しします。

目次

1. そもそも「顎関節症」とは?痛みの正体を知ろう

「顎関節症(がくかんせつしょう)」という言葉は有名ですが、具体的に何が起きているのかイメージしづらい病気でもあります。 主な症状は、「顎が痛い」「口が開かない」「音が鳴る」の3つですが、これらに加えて頭痛や肩こり、耳鳴りなどを併発することも少なくありません。

 

実は、一口に顎関節症と言っても、原因となっている場所によって大きく5つのタイプに分類されます。ご自身の痛みはどれに近いでしょうか?

 

1-1. 筋肉の痛み?関節のズレ?5つのタイプ分類

  • Ⅰ型(筋肉の痛み): 関節そのものではなく、顎を動かす筋肉(こめかみや頬)が筋肉痛を起こしている状態です。ストレスによる食いしばりが主な原因です。
  • Ⅱ型(関節の捻挫): 関節を包む組織や靭帯が傷つき、炎症を起こしている状態です。無理に口を開けた時などに起こります。
  • Ⅲ型(クッションのズレ): 関節の中にある「関節円板」というクッションが、本来の位置から前方にズレている状態です。「カクン」という音は、ズレたクッションに戻る時の音です。さらにズレがひどくなると、クッションが詰まって口が開かなくなります(ロック)。
  • Ⅳ型(骨の変形): 長年の負担で、関節の骨そのものがすり減ったり変形したりしている状態です。「ジャリジャリ」という音が特徴です。
  • Ⅴ型(その他): 上記に当てはまらないものや、心身的な要因が強いものです。

このように、「顎が痛い」といっても、筋肉が悪いのか、骨が変形しているのかによって、治療のアプローチは全く異なります。まずは「敵を知る」ことが治療の第一歩です。

 

2. なぜ「噛み合わせ」が顎を壊すのか(メカニズム)

では、なぜ「噛み合わせ」が顎関節症の原因として注目されるのでしょうか。

 

私たちのアゴは、頭の骨から筋肉と靭帯でぶら下がっている、ブランコのような構造をしています。この不安定なブランコを支えているのが「噛み合わせ」です。 理想的な噛み合わせであれば、噛み締めた時の強い力を、全ての歯でバランスよく受け止め、関節への負担を減らすことができます。

 

しかし、もし「詰め物が高くて一箇所だけ強く当たる(早期接触)」や「顎を横に動かすと奥歯が引っかかる(干渉)」といったズレがあるとどうなるでしょうか。 顎は無意識にその引っ掛かりを避けようとして、不自然な動き(回避運動)を繰り返します。

 

この不自然な動きが毎日積み重なることで、筋肉が過緊張を起こしたり(Ⅰ型)、関節内のクッションが無理な方向に引っ張られてズレたり(Ⅲ型)、最終的には骨が悲鳴を上げて変形したり(Ⅳ型)するのです。 つまり、悪い噛み合わせは、顎関節にとって「24時間続く強制労働」のような過酷な環境を作り出してしまうのです。

 

3. ここが重要!噛み合わせと生活習慣の「境界線」

しかし、ここで非常に重要なポイントがあります。それは、「噛み合わせが悪い人が、必ずしも顎関節症になるわけではない」ということです。 逆に、歯並びがとても綺麗なのに、重度の顎関節症に悩む方もいらっしゃいます。

 

3-1. コップの水があふれる時(多因子病因説)

顎関節症は、一つの原因だけで発症するとは限りません。「噛み合わせの悪さ」「ストレス」「食いしばり癖」「片側噛み」「頬杖などの姿勢」「顎の弱さ」……これら様々な要因が積み重なり、その人の耐久限界(コップの容量)を超えた時に、初めて症状としてあふれ出します。

 

3-2. いきなり歯を削ってはいけない理由

もし、痛みの主原因が「仕事のストレスによる食いしばり」だった場合、慌てて歯を削って噛み合わせを変えても、痛みは治まりません。それどころか、不可逆的(元に戻せない)な治療をしたことで、かえってバランスを崩し、迷宮入りしてしまうリスクすらあります。

 

「噛み合わせが主犯なのか、それとも脇役(増悪因子)なのか」。 この境界線を見極めることこそが、私たち歯科医の診断力の見せ所であり、最も慎重になるべきポイントなのです。

 

4. 原因を特定するために受けるべき「3つの精密検査」

一般的なレントゲンと「様子を見ましょう」という言葉だけで終わらせないために。 当院では、原因を徹底的に分析するために、以下の精密検査を行っています。

 

4-1. 骨の状態を見る「歯科用CT」

従来のレントゲンは平面(2次元)ですが、CTは立体(3次元)で骨の状態を確認できます。 「顎の骨が変形していないか」「関節の隙間が狭くなっていないか」「関節の中で骨が正しい位置にあるか」を詳細に診断します。特にⅣ型の変形性顎関節症の診断には不可欠です。

 

4-2. 動きのクセを見る「顎運動検査」

「顎がどのような軌道を描いて動いているか」をデジタル機器で記録・解析します。 正常な動きは滑らかですが、関節円板にズレや筋肉の緊張があると、ギザギザしたり左右に大きくブレたりします。この「動きの軌跡」を見ることで、どこで引っかかっているのか、どの筋肉が邪魔をしているのかを科学的に推測します。

 

4-3. 緊張を探る「筋触診」

アナログですが非常に重要な検査です。歯科医師が直接、こめかみ、頬、首、肩などの筋肉に触れ、コリの強さや痛み(圧痛点)を確認します。 「右の咬筋だけ異常に硬い」といった情報から、普段の噛み癖や食いしばりの影響を読み解きます。

 

5. マウスピースだけじゃない。根本治療へのアプローチ

精密検査で診断がついたら、いよいよ治療です。 一般的に知られる「ナイトガード(マウスピース)」は有効な手段ですが、それだけで全てが解決するわけではありません。当院では、患者様のタイプに合わせて以下のアプローチを組み合わせます。

  • スプリント療法(マウスピース): まずは顎への負担を減らし、筋肉の緊張を解きます。ただし、単にはめるだけでなく、顎がリラックスできる「正しい位置」に誘導できるよう精密に調整したものを使用します。
  • 理学療法・生活指導: Ⅰ型(筋肉痛タイプ)の方には、マッサージや開口ストレッチを指導します。また、「TCH(歯列接触癖)」という、無意識に歯を接触させる癖を直すトレーニングも重要です。
  • 咬合調整(微調整): 明らかに邪魔をしている歯の干渉がある場合に限り、ミクロン単位で調整を行います。
  • 咬合再構成(被せ物・矯正): 歯を失って噛み合わせが崩壊している場合などは、最終手段として、被せ物のやり直しや矯正治療で、理想的な噛み合わせを作り直します。

 

6. まとめ:顎のSOSを見逃さず、正しい診断を

顎関節症は、すぐに命に関わる病気ではありません。しかし、「食べる」「話す」「笑う」という日常の幸せを奪い、頭痛や全身の不調を引き起こして生活の質を大きく下げる病気です。

 

「いつか治るだろう」と痛みを我慢している間に、関節の中で骨の変形が進んでしまい、取り返しがつかなくなることもあります。 顎の違和感は、体からの「バランスが崩れているよ」というSOSです。

 

もし、東京・町田エリアで「原因の分からない顎の痛み」や「噛み合わせの不安」をお持ちなら、ぜひ一度みどりの森デンタルクリニック町田にご相談ください。 私たちは、「とりあえず」の治療ではなく、精密な検査と丁寧なカウンセリングで原因を突き止め、あなたの顎の健康を取り戻すための「根本治療」をご提案いたします。

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