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「矯正しないと治らない?」は誤解です。歯科医が教える噛み合わせ改善の選択肢と費用
2025.07.25

「噛み合わせに違和感があるのですが、やっぱり矯正しないと治りませんか?」 「相談したいけれど、何十万円もかかる治療を勧められたらどうしよう……」
日々の診療の中で、患者様からこのようなご質問をいただくことは非常に多いです。 確かに、インターネットで検索すると「噛み合わせ=矯正治療」という情報が多く出てくるため、「大掛かりな装置をつけないと治らない」と思い込んでしまっている方が少なくありません。
しかし、院長である私の経験上、すべての噛み合わせの不調に矯正治療が必要なわけではありません。むしろ、原因によっては、歯を動かさずに、もっとシンプルで負担の少ない方法で劇的に改善するケースも数多く存在します。
この記事では、皆様が一番気にされている「矯正以外の改善方法」と、それぞれの「費用や期間の違い」について、歯科医の本音を交えながら分かりやすく解説します。 ご自身に合った治療法を見つけるためのヒントとして、ぜひお役立てください。
目次
- 1. そもそも、なぜ噛み合わせはズレてしまうのか?
- 2. 「矯正ありき」ではない!症状に合わせた3つの治療アプローチ
- 3. それでも「矯正治療」が必要になるケースとは?
- 4. 気になる「費用」と「期間」の目安を比較
- 5. 大切なのは「原因」の特定。当院の診断プロセス
- 6. まとめ:諦める前に、まずは「現状」を知ることから
1. そもそも、なぜ噛み合わせはズレてしまうのか?
治療法の話をする前に、少しだけ「原因」について触れさせてください。「噛み合わせが悪い=生まれつきの歯並びが悪い」と思われがちですが、実はそれ以上に、「後天的な要因(生活習慣や環境)」が大きく関わっています。
- 過去の歯科治療: 昔入れた詰め物や被せ物の高さが、経年変化ですり減ったり、微妙に合わなくなったりしている。
- 歯の喪失: 抜けた歯を放置したことで、隣の歯が倒れ込み、全体のバランスが崩れている。
- 悪習癖(癖): 頬杖、片側噛み、うつ伏せ寝などが、顎の位置を徐々に歪ませている。
- ストレス性: 無意識の「食いしばり」や「歯ぎしり」により、歯が削れたり、位置が移動したりしている。
このように、骨格や歯並びそのものに大きな問題がなくても、「歯の高さ」や「顎の位置」がわずかに変化するだけで、不調は起こります。 つまり、「なぜズレたのか」によって、選ぶべき治療法は全く異なるのです。
2. 「矯正ありき」ではない!症状に合わせた3つの治療アプローチ
「歯並び全体を動かす(=矯正)」以外にも、噛み合わせを整える有効な手段はいくつかあります。 当院でよく行う、矯正以外の代表的な3つのアプローチをご紹介します。
2-1. 【調整】ミクロン単位の微調整(咬合調整)
「特定の歯だけが強く当たる」「詰め物を変えてから調子が悪い」といった場合に有効です。 髪の毛1本の太さは約80ミクロンですが、お口の中は数ミクロンの違いも感知するほど繊細です。強く当たりすぎている詰め物や歯の一部を、ほんのわずか研磨して調整するだけで、顎の緊張が解け、嘘のように楽になることがあります。
- メリット: 期間が短く、費用も保険適用内で済むことが多い。
2-2. 【保護】顎を守るマウスピース療法(スプリント)
夜間の歯ぎしりや食いしばりが原因で、顎の位置が安定しない場合に用います。 寝ている間に専用のマウスピース(ナイトガード)を装着することで、歯への過剰な負担を防ぎ、顎の関節や筋肉をリラックスさせます。まずはこれで筋肉の緊張を取り除き、本来の顎の位置を確認することから治療が始まることも多いです。
- メリット: 歯を削らずに済み、可逆的(やめても元に戻る)なのでリスクが低い。
2-3. 【修復】被せ物による高さの回復(補綴治療)
長年の使用ですり減ってしまった歯や、高さが合っていない古い被せ物を、適切な形のものに作り変える方法です。 歯を動かすのではなく、歯の形そのものを修正することで、理想的な噛み合わせを再構築します。ブリッジやインプラントで、失った歯を補うこともこれに含まれます。
- メリット: 矯正よりも短期間で、噛む機能を回復できる。
3. それでも「矯正治療」が必要になるケースとは?
では、逆に「矯正治療でなければ治らない」のはどのような場合でしょうか。 それは、「歯の位置そのものが大きくずれており、調整や被せ物だけでは対応しきれない場合」です。
- 重度のガタガタ(叢生)や、受け口・出っ歯などの骨格的な問題が大きい。
- 歯が本来あるべき位置から大きく離れており、顎の動きを阻害している。
このような場合は、土台となる歯並び自体を整える必要があるため、ワイヤー矯正やマウスピース矯正(インビザライン等)が第一選択となります。 矯正治療は、期間も費用もかかりますが、「自分の歯を残したまま、根本的に並びを整えられる」という点では、最も理想的な治療とも言えます。
4. 気になる「費用」と「期間」の目安を比較
患者様にとって最も気になる「コスト」と「時間」について、一般的な目安を整理しました。(※お口の状態により変動します)
| 治療法 | 費用の目安 | 期間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 咬合調整 | 数千円程度(保険適用可の場合あり) | 1日〜数回 | 強く当たる部分を微調整。最も手軽。 |
| スプリント療法(マウスピース) | 5,000円〜数万円(保険適用可の場合あり) | 通院は数回(装着は継続) | 顎の保護と筋肉の緩和。対症療法的。 |
| 補綴治療(被せ物のやり直し) | 1本数千円(保険)〜10万円前後(自費) | 1ヶ月〜数ヶ月 | 歯の形を変えて高さを回復。矯正より早い。 |
| 矯正治療 | 30万円〜100万円前後(基本的に自費) | 1年〜3年程度 | 歯を動かして根本解決。時間と費用がかかる。 |
このように比較すると、矯正治療だけが突出して負担が大きいことが分かります。だからこそ、まずは他の方法で改善できないかを慎重に検討する価値があるのです。
5. 大切なのは「原因」の特定。当院の診断プロセス
治療法を選ぶ上で最も危険なのは、「自己判断」や「推測」で治療を進めてしまうことです。 「矯正しないとダメだと思い込んでいたけれど、実は被せ物の高さが原因だった」というケースもあれば、逆に「削れば治ると思っていたけれど、矯正が必要だった」というケースもあります。
みどりの森デンタルクリニック町田では、いきなり治療を勧めることはありません。
- 詳細な問診: 生活習慣や痛みの歴史を伺います。
- 咬合検査: 咬合紙や模型を使って、接触状態を客観的に分析します。
- 画像診断: 必要に応じてCTなどを使い、骨や関節の状態を確認します。
これらを総合し、「なぜ今その不調が出ているのか」を突き止めた上で、患者様のライフスタイルやご予算に合わせた「最善のプラン」を一緒に考えていきます。
6. まとめ:諦める前に、まずは「現状」を知ることから
「矯正は高いから……」と、噛み合わせの不調を我慢し続けてしまうことは、歯の寿命を縮め、全身の健康を損なうことにもなりかねません。 これまでお話ししたように、矯正以外にも解決の糸口はたくさんあります。
「大掛かりなことはしたくないけれど、今の不快感はどうにかしたい」 「まずは自分にどんな選択肢があるのかだけ知りたい」 そんなお気持ちで構いません。
町田で噛み合わせにお悩みの方は、ぜひ一度みどりの森デンタルクリニック町田にご相談ください。 私たちは、「木を見て森を見ず」の治療ではなく、患者様の将来を見据えた、誠実で分かりやすい説明をお約束いたします。