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「食べられない」を解決する|噛み合わせと嚥下機能、そして栄養指導の重要性
2026.01.20

「最近、食事中にむせることが多くなった」 「硬いものが噛みきれず、柔らかいものばかり選んでしまう」 「胃腸の調子が悪く、食事が楽しめない」
患者様とお話ししていると、歯の痛みそのものだけでなく、こうした「食事」に関する切実なお悩みを伺うことが増えてきました。 食事は、私たちが生きていくためのエネルギー源であると同時に、人生における大きな楽しみの一つです。それが苦痛になってしまうことは、心身の健康にとって非常に大きな損失と言えます。
実は、これらの問題の背景には、単なる加齢や喉の問題だけでなく、「噛み合わせ(咬合)」の乱れが深く関わっているケースが多々あります。そして、その解決には、歯を治すだけでなく、「何をどう食べるか」という栄養学的な視点が欠かせません。
この記事では、当院が実践している歯科医師と管理栄養士(栄養士)による「多職種連携」のアプローチと、噛み合わせが嚥下(飲み込み)に与える深い関係について解説します。
目次
- 「噛む」と「飲み込む」の密接な関係
- 嚥下の5期と噛み合わせの役割
- 噛み合わせが悪いと「誤嚥」のリスクが高まる理由
- 歯科医院になぜ「栄養士」が必要なのか?
- お口の状態に合わせた「食形態」の提案
- 歯周病や虫歯を予防するための「身体づくり」
- 当院が実践する「歯科×栄養」の多職種連携アプローチ
- 精密検査による機能評価
- ライフスタイルに寄り添った栄養指導
- 「オーラルフレイル」を防ぎ、生涯現役で食べるために
- 町田で「食」と「歯」のトータルケアをお考えの方へ
1. 「噛む」と「飲み込む」の密接な関係
私たちが普段何気なく行っている「食事」という行為は、実は非常に複雑で精巧なメカニズムによって成り立っています。 食べ物を口に入れ、胃に送り込むまでの一連の動作を「摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)」と呼びますが、これは大きく5つのステージに分かれています。
- 先行期:食べ物を認知し、口へ運ぶ段階。
- 準備期(咀嚼期):食べ物を噛み砕き、唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすい形(食塊)にする段階。
- 口腔期:食塊を舌を使って喉の奥へ送り込む段階。
- 咽頭期:嚥下反射によって、食塊を食道へ送り込む段階(ここで気管に入ると誤嚥になります)。
- 食道期:食塊が食道を通って胃へ運ばれる段階。
この中で、私たち歯科医師が特に重視するのが「2. 準備期(咀嚼期)」と「3. 口腔期」です。そして、この段階で最も重要な役割を果たすのが「噛み合わせ」なのです。
噛み合わせが悪いと「誤嚥」のリスクが高まる理由
噛み合わせがズレていたり、歯が抜けたままになっていたりすると、食べ物を十分に細かく噛み砕くことができません。すると、大きな塊のまま飲み込もうとすることになり、喉に詰まらせたり、誤って気管に入ってしまったりする「誤嚥(ごえん)」のリスクが格段に高まります。
また、飲み込む瞬間、私たちは無意識に奥歯をグッと噛みしめて、顎の位置を固定しています。これにより喉の筋肉が正しく働き、スムーズな嚥下が可能になります。しかし、噛み合わせが安定していないと、顎を固定できず、飲み込む力が弱くなってしまうのです。
「噛み合わせを治す」ということは、単に歯並びを整えるだけでなく、「安全に、スムーズに飲み込むための土台を作る」という、生命維持に関わる重要な治療なのです。
2. 歯科医院になぜ「栄養士」が必要なのか?
これまで歯科医院といえば、「歯を削って治す場所」というイメージが強かったかもしれません。しかし、当院では「お口は身体の入り口であり、健康の源である」という考えのもと、管理栄養士や栄養士との連携を強化しています。 なぜ、歯科に栄養のプロが必要なのでしょうか。理由は大きく2つあります。
お口の状態に合わせた「食形態」の提案
治療中や、入れ歯に移行する時期、あるいは噛み合わせの治療を行っている期間は、一時的に噛む力が低下することがあります。 その際、「硬いものは避けてください」と伝えるだけでは不十分です。「具体的に何を食べればいいのか?」「栄養不足にならないためにはどう工夫すればいいのか?」といった疑問に対し、栄養士が患者様一人ひとりのお口の状態(噛める力、飲み込める力)に合わせた「食形態(食材の大きさ、硬さ、とろみなど)」や調理法をご提案します。無理なく美味しく栄養を摂っていただくことが、治療の成功にも繋がります。
歯周病や虫歯を予防するための「身体づくり」
虫歯や歯周病は細菌感染症ですが、発症や進行には「身体の抵抗力」や「食生活」が深く関わっています。 例えば、糖分の過剰摂取は虫歯菌の活動を活発にしますし、ビタミンやミネラル不足は歯茎の抵抗力を下げ、歯周病を悪化させます。また、インプラント治療を行う際も、骨の結合を促すためには十分なタンパク質やカルシウムが必要です。
「最小限の治療と最大限の予防」を掲げる当院として、お口のトラブルを繰り返さないためには、食生活そのものを見直し、身体の内側から健康を作るサポートが不可欠だと考えています。
3. 当院が実践する「歯科×栄養」の多職種連携アプローチ
みどりの森デンタルクリニック町田では、歯科医師、歯科衛生士、そして栄養士がチームとなり、患者様をサポートしています。
精密検査による機能評価
まずは現状を知ることから始まります。 歯科用CTや口腔内スキャナーを用いた噛み合わせの診断だけでなく、必要に応じて舌の動きや飲み込みの機能を評価します。 「なぜ飲み込みにくいのか」が、歯の問題なのか、舌の筋力低下なのか、乾燥(ドライマウス)なのかを多角的に分析し、原因を突き止めます。
ライフスタイルに寄り添った栄養指導
検査結果と治療計画に基づき、栄養士がカウンセリングを行います。 重要なのは、教科書通りの指導を押し付けるのではなく、「患者様のライフスタイルで実践できること」を一緒に探すことです。
- 「忙しくて自炊ができない」という方には、コンビニエンスストアで買えるおすすめの組み合わせを。
- 「家族と同じメニューが食べたい」という方には、調理のひと工夫で食べやすくする方法を。
歯科医師による「噛めるお口作り(機能回復)」と、栄養士による「食べられる食事の提案(食支援)」。この両輪が回って初めて、真の健康が実現すると私は確信しています。
4. 「オーラルフレイル」を防ぎ、生涯現役で食べるために
近年、「オーラルフレイル(お口の虚弱)」という言葉が注目されています。 滑舌が悪くなる、食べこぼしが増える、噛めない食品が増えるといった些細な口の機能低下が、やがて全身の筋力低下や要介護状態へと繋がっていくという概念です。
噛み合わせを整え、適切な栄養を摂り、口の機能を使い続けることは、このオーラルフレイルを食い止める最強の手段です。 「もう歳だから仕方がない」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。噛み合わせの調整や、入れ歯の改善、そして食生活の改善によって、食べる機能は回復・維持できる可能性があります。
5. 町田で「食」と「歯」のトータルケアをお考えの方へ
私たちは、歯を治すことだけをゴールにはしていません。 その先にある「美味しく食べて、健康に生きる」という患者様の幸せな生活を守ることが、私たちの使命です。
- 「食事中にむせることが不安」
- 「今の自分の噛む力に合った食事が知りたい」
- 「歯の治療だけでなく、身体全体の健康相談もしたい」
このようにお考えの方は、ぜひ一度、みどりの森デンタルクリニック町田にお越しください。 歯科医師と栄養士が連携し、あなたの「食べる力」を全力でサポートいたします。
少しでも参考になれば幸いです。
自身の歯についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
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