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「歯並びは綺麗なのに…」その不調、噛み合わせが原因かも?歯科医が解説する治療の必要性
2025.06.13

「歯医者さんでは『歯並びは綺麗ですね』と言われるのに、なぜか食事がしにくい……」 「夕方になると顎がだるく、こめかみが締め付けられるような頭痛がする」 「なんとなく噛み合わせが定まらない感じが続いて、気持ちが晴れない」
当院にも、こうした”原因のはっきりしないお口の不調”を抱えて来院される患者様が増えています。 虫歯や歯周病のように「穴が開いた」「腫れた」という目に見える症状がないため、「気のせいかな?」「これくらいで歯医者に行ってもいいのかな?」と、お一人で悩み続けてしまう方も少なくありません。
しかし、院長である私の経験上、その違和感の正体は、見過ごされがちな「噛み合わせの機能的な乱れ」であるケースが非常に多いのです。 見た目の美しさと、噛む機能の調和は、必ずしもイコールではありません。
この記事では、多くの患者様が疑問に思われる「噛み合わせ治療は本当に必要なのか?」というテーマに対し、私たち歯科医がどのような視点で診断し、治療を行っているのかを、分かりやすく丁寧にお話しします。
目次
- 「噛み合わせ治療」は誰に必要なのか?
- 「歯並びは良い=噛み合わせが良い」とは限らない理由
- 見逃さないで!体が発する「噛み合わせ不調」のサイン
- なぜ今、「噛み合わせ」が悪くなりやすいのか?(現代特有の要因)
- 歯科医院で行う「噛み合わせ治療」の具体的内容
- まずは「知る」ことから。当院の診断プロセス
- まとめ:その違和感、我慢せずにご相談ください
1. 「噛み合わせ治療」は誰に必要なのか?
一般的に「噛み合わせ治療」や「矯正」というと、「歯並びがガタガタな人が受けるもの」「見た目を治すためのもの」というイメージが強いかもしれません。 しかし、私たち専門家が考える「噛み合わせ治療が必要な方」の定義はもっと広いものです。
結論から申し上げますと、「見た目の良し悪しに関わらず、噛む機能や全身のバランスに支障が出ている方」すべてが対象となります。
具体的には、以下のような症状がある場合です。
- 特定の歯だけに強く当たる感じがあり、噛むと痛い。
- 口を開け閉めすると、顎が「カクカク」「ジャリジャリ」と鳴る。
- 朝起きた時に、顎や首、肩にどっと疲れを感じる。
- 無意識のうちに、食事を右(または左)ばかりで噛んでいる。
- 歯の先端が削れて平らになっていたり、根元がくびれて削れていたりする(知覚過敏)。
これらは、歯並びが一見きれいに整っている方にも頻繁に見られる症状です。つまり、噛み合わせ治療は「審美(見た目)」だけでなく、「機能(健康に噛めること)」を取り戻すための治療なのです。
2. 「歯並びは良い=噛み合わせが良い」とは限らない理由
ここが患者様にとって一番の矛盾であり、理解しにくいポイントかもしれません。 「矯正をして歯並びはきれいになったはずなのに、噛みにくい」というご相談を受けることもあります。なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
それは、「静的な見た目」と「動的な噛み合わせ」は別物だからです。
鏡で見ている歯並びは、口を「いー」と閉じた状態、つまり静止画の状態です。しかし、実際の食事や会話では、顎は上下左右に複雑に動きます(動画の状態)。 たとえ前歯がきれいに並んでいても、顎を横にスライドさせた時に奥歯が引っかかったり、特定の歯が強く当たりすぎて顎の動きをロック(制限)してしまったりすることがあります。
この「動きの中での不調和」こそが、歯ぎしりや食いしばり、顎関節症といったトラブルの引き金になります。 「美しい歯列」は素晴らしいことですが、それが「顎の動きに合った機能的な歯列」になっているかどうかが、本当の意味での健康には重要なのです。
3. 見逃さないで!体が発する「噛み合わせ不調」のサイン
「噛みにくい」という感覚以外にも、体はさまざまなサインを発して「噛み合わせのズレ」を訴えていることがあります。 以下のような症状が慢性化している場合、放置せずに一度歯科医にご相談いただきたいサインです。
- 顎関節症の兆候: 口が指1〜2本分しか開かない、口を開けると顎の付け根が痛む。初期は「音が鳴る」程度でも、悪化すると激痛で食事ができなくなることもあります。
- 歯のダメージ: 虫歯でもないのに歯がしみる、詰め物が頻繁に取れる、歯にヒビが入る。これらは過剰な力がかかっている証拠です。
- 全身の不定愁訴: 慢性的な首や肩のコリ、偏頭痛、めまい、耳鳴りなど。顎周りの筋肉の緊張が、首や肩へ連鎖して起きている可能性があります。
- 睡眠の質の低下: 夜間の食いしばりによる熟睡感の欠如や、起床時の疲労感。
これらの症状は、ご自身で「歯が原因だ」と結びつけるのが難しいため、長年我慢されてしまうケースが多く見受けられます。
4. なぜ今、「噛み合わせ」が悪くなりやすいのか?(現代特有の要因)
当院のある町田エリアでも、近年こうした噛み合わせの不調を訴える患者様が増加傾向にあります。これには、現代社会特有のライフスタイルが深く関係していると考えられます。
- ① 長時間のデスクワークと「TCH」 パソコンやスマホに集中している時、無意識に上下の歯を接触させていませんか? 本来、リラックスしている時は上下の歯は離れているのが正常です。しかし、ストレスや集中によって歯を接触させ続ける癖(TCH:歯列接触癖)を持つ方が増えており、これが顎の筋肉に持続的な負担をかけています。
- ② 姿勢の悪化(スマホ首・猫背) 頭が前に出る姿勢(ストレートネックなど)になると、下顎の位置が奥に押し込まれやすくなり、噛み合わせのバランスが崩れます。
- ③ 柔らかい食事による咀嚼回数の減少 噛む回数が減ると顎の骨や筋肉への刺激が減り、本来の顎の成長や維持機能が弱まってしまうことも一因と言われています。
つまり、特別な病気ではなくても、日々の生活習慣の積み重ねによって、誰しもが噛み合わせのトラブルを抱えるリスクを持っているのです。
5. 歯科医院で行う「噛み合わせ治療」の具体的内容
「噛み合わせ治療」と聞くと、「全部の歯を削られるのではないか」「大掛かりな矯正が必要なのか」と不安になる方もいるでしょう。 しかし、実際の治療は、原因や症状の重さに応じて、体への負担が少ない方法から段階的に行います。
- スプリント療法(マウスピース): まずは夜間にマウスピースを装着していただき、無意識の食いしばりから歯と顎を守ります。顎の筋肉の緊張を解き、本来の顎の位置を確認するためにも有効です。
- 咬合調整(微調整): 髪の毛1本分(数十ミクロン)単位で、強く当たりすぎている詰め物や歯の一部を研磨し、バランスを整えます。ほんの少しの調整で、嘘のように楽になることもあります。
- 被せ物のやり直し: 高さや形が合っていない古い被せ物がある場合は、機能的な形に作り直します。
- 矯正治療: 歯の並び自体が噛み合わせを大きく阻害している場合は、ワイヤーやマウスピースを用いて、歯の位置そのものを動かして整えます。
- 生活習慣指導: TCH(噛み締め癖)の改善や、姿勢のアドバイスなども行います。
6. まずは「知る」ことから。当院の診断プロセス
治療を始める前に最も大切なのは、「なぜ噛み合わせが悪くなっているのか」を正確に診断することです。 みどりの森デンタルクリニック町田では、いきなり削るようなことはせず、以下のような丁寧なステップを踏んでいます。
- 問診とカウンセリング: 「いつから」「どんな時に」つらいのか、お仕事の環境や生活習慣まで含めて詳しくお伺いします。
- 筋肉と顎関節の触診: お顔や首の筋肉を触らせていただき、コリや左右差、痛みの有無を確認します。
- 咬合分析: 咬合紙(色が付く紙)を使って、お口の中での当たり方をチェックし、必要に応じて模型を作製して、咬合器という機械で顎の動きを再現・分析します。
- 画像診断: レントゲンやCTを用いて、顎の骨の形や関節の状態を客観的に評価します。
これらの結果をもとに、「あなたにとって最適な噛み合わせ」を一緒に探していきます。
7. まとめ:その違和感、我慢せずにご相談ください
噛み合わせ治療は、単に歯の凸凹を治すだけのものではありません。 「美味しく食事をする」「楽しく会話をする」「ぐっすり眠る」といった、当たり前の日常を支えるための土台作りです。
「なんとなく調子が悪いけれど、どこに相談していいか分からない」 そんな不安をお持ちの方は、ぜひ一度、かかりつけ医としてご相談ください。
町田で噛み合わせ治療や、原因不明の歯の不調にお悩みなら、みどりの森デンタルクリニック町田へ。 私たちは、患者様お一人おひとりの「感覚」を大切にし、科学的な根拠に基づいた診断と、心に寄り添う丁寧な説明で、皆様の健康をサポートいたします。