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噛み合わせの違和感、放置して大丈夫?歯科医が教えるセルフチェックと受診の目安
2025.08.22

「歯並びは悪くないはずなのに、なんだか噛みにくい」 「朝起きると顎が重だるく、こめかみが締め付けられるように痛む」 「肩こりや頭痛が続いていて、マッサージに行っても良くならない」
このような「原因のはっきりしない不調」を感じたとき、それが「噛み合わせ(咬合)」の問題だと気づく方はそう多くありません。 しかし、院長である私の経験上、こうした違和感の背景には、歯や顎のバランスの乱れが隠れていることが非常に多いのです。
「これくらいで歯医者さんに行ってもいいのかな?」と迷われる気持ち、よく分かります。痛みがないと、どうしても受診をためらってしまいますよね。 そこでこの記事では、ご自宅で簡単にできる「噛み合わせセルフチェック」と、当院でもよくご質問いただく内容をQ&A形式で詳しくまとめました。
これは診断ではありませんが、あなたのお口と体の現状を知るための大切な「ものさし」になるはずです。ぜひ鏡を見ながら、一緒にチェックしてみてください。
目次
- 1. まずはここから!噛み合わせセルフチェック10項目
- 2. 結果の見方:歯科医が考える「受診のサイン」
- 3. 院長が詳しく回答!噛み合わせに関するQ&A
- 4. いざ受診!歯科医院では具体的に何をする?
- 5. 今日からできる「噛み合わせを悪くしない」習慣
- 6. まとめ:違和感は体からのメッセージです
1. まずはここから!噛み合わせセルフチェック10項目
まずは、現在のお口の状態を客観的に見てみましょう。以下の10項目の中で、当てはまるものがいくつあるか数えてみてください。 「少し当てはまるかも」という場合は、0.5点としてカウントしていただいても構いません。
- 朝起きた時の顎の疲労感: 目覚めた瞬間、顎やこめかみに「こわばり」や「だるさ」を感じませんか?(夜間の食いしばりの可能性があります)
- 片側噛みの癖: 食事中、無意識に右(または左)ばかりで噛んでいませんか?片方の歯だけ疲れることはありませんか?
- 顎の音・違和感: 口を開け閉めした時、「カクッ」「ジャリッ」という音が鳴ったり、骨が引っかかるような感じがしたりしませんか?
- 特定の歯のすり減り: 犬歯(糸切り歯)の先端が平らになっていたり、奥歯の溝がなくなっていたりしませんか?冷たいものがしみるのもサインです。
- 慢性的な首・肩こり: マッサージに行ってもすぐにぶり返す、原因不明の肩こりや緊張性頭痛が続いていませんか?
- 歯ぎしりの自覚・指摘: 家族に「寝ている時に歯ぎしりをしていた」と言われたり、日中無意識に歯を食いしばっていたりしませんか?
- 姿勢や生活習慣: 頬杖をつく、うつ伏せで寝る、スマホを見る時に猫背になっている、といった姿勢が習慣化していませんか?
- 治療後の違和感: 詰め物や被せ物を入れてから、「なんとなく噛む位置が定まらない」「高さが違う気がする」と感じていませんか?
- 開口障害: 指を縦に3本入れた時、無理なく口が開きますか?開けた時に顎が左右に揺れませんか?
- 早期接触: カチカチと軽く噛んだ時、特定の歯だけが「先に当たる」感覚はありませんか?
【院長からの補足ポイント】 特に「3番の音」は、痛みがなくても要注意です。関節の中にあるクッション(関節円板)がズレているサインであり、放置すると口が開かなくなる恐れがあります。
2. 結果の見方:歯科医が考える「受診のサイン」
チェックの結果はいかがでしたか?点数に応じて、私たち歯科医が推奨するアクションが変わります。
- 0~2点【様子見の範囲】 今のところ緊急性は低いですが、油断は禁物です。後ほどご紹介する「セルフケア」を取り入れ、悪化を防ぎましょう。ただし、点数が低くても「痛み」がある場合はすぐに受診してください。
- 3~5点【一度相談をおすすめします】 噛み合わせのバランスが崩れ始めているか、顎に負担のかかる癖(習癖)がある可能性が高いです。自覚症状がなくても、歯に過剰な力がかかり、将来的に歯が割れたり歯周病が悪化したりするリスクがあります。
- 6点以上【早めの受診を推奨】 顎関節、筋肉、歯への負担がかなり蓄積していると考えられます。「そのうち治るだろう」と放置せず、早めに専門的なチェックを受けることを強くお勧めします。
※このチェックはあくまで簡易的な目安です。痛み、しびれ、口が開かないなどの症状がある場合は、点数に関わらず早急にご相談ください。
3. 院長が詳しく回答!噛み合わせに関するQ&A
ここからは、当院の診療室で患者様から実際によくいただくご質問に、歯科医の視点で詳しくお答えします。
Q1:歯並びは「きれい」と言われるのに、なぜ噛みにくいのですか?
A: これは非常によくある誤解です。「歯並び(見た目の配列)」と「噛み合わせ(機能的な接触)」は別物だからです。 静止した状態で歯がきれいに並んでいても、顎を動かした時に奥歯がぶつかったり、ガイドとなる犬歯が機能していなかったりすると、脳は「噛みにくい」と感じます。見た目の美しさだけでなく、顎の動きと調和しているかが重要なのです。
Q2:片側だけで噛む癖は、そんなに悪いことですか?
A: はい、実はかなり負担がかかります。片側噛み(偏咀嚼)を続けると、よく使う側の筋肉だけが発達して硬くなり、使わない側の筋肉は衰えます。 この筋肉の左右差が、顎の位置そのものを歪ませ、顔の歪みや、首・肩の慢性的なコリにつながっていきます。意識して「左右均等に」噛むことが、噛み合わせを守る第一歩です。
Q3:肩こりや頭痛は、本当に歯が原因なんですか?
A: 全てではありませんが、原因の一つであるケースは多々あります。 噛むための筋肉(側頭筋など)は、頭の横や首、肩の筋肉とつながっています。噛み合わせが悪く、常に顎の筋肉が緊張していると、それが「ドミノ倒し」のように首や肩へ伝わり、頑固なコリや緊張性頭痛を引き起こすのです。
Q4:マウスピース(ナイトガード)を作れば治りますか?
A: マウスピースは「治療薬」というよりは「保護具」とお考えください。 装着することで、歯ぎしりの強大な力から歯を守り、顎の関節や筋肉を休ませる効果は絶大です。しかし、噛み合わせのズレそのものを根本的に治すわけではありません。症状によっては、マウスピースで顎をリラックスさせた後に、噛み合わせの調整を行う必要があります。
Q5:マウスピース矯正をしたら、噛み合わせが悪化したと聞きました…
A: 残念ながら、見た目だけを優先して無理な並べ方をした場合に起こり得ます。 矯正治療は、単に歯を並べるだけでなく、「正しい顎の位置で、正しく噛めるか」という機能的なゴール設定が不可欠です。矯正を検討される際は、必ず「噛み合わせ(咬合)」の知識が深い歯科医院を選ぶことが大切です。
Q6:保険診療で診てもらえますか?
A: はい、基本的な検査や顎関節症の治療、歯の調整などは保険適用となるケースが多いです。 まずは保険診療の範囲で検査を行い、矯正治療など自費診療が必要な選択肢については、ご希望を伺いながら丁寧にご説明します。いきなり高額な治療を勧めることはありませんのでご安心ください。
4. いざ受診!歯科医院では具体的に何をする?
「受診したら、すぐに削られたりするのでは?」と不安な方もいらっしゃると思います。当院では、いきなり不可逆的(元に戻らない)な処置は行いません。まずは「診断」が最優先です。
- 問診: どのような時に辛いか、生活習慣やストレス環境などをじっくり伺います。
- 咬合チェック: 「咬合紙」という色紙を噛んでいただき、ミクロン単位での接触状態を確認します。
- 触診: 顎の筋肉や首筋に触れ、こわばりや痛みの有無、左右差をチェックします。
- 画像診断: 必要に応じてレントゲンやCTを撮り、骨や関節の状態を客観的に評価します。
その上で、「マウスピースで様子を見るか」「少しだけ詰め物を調整するか」「全体的な治療が必要か」など、患者様お一人おひとりに合わせたプランをご提案します。
5. 今日からできる「噛み合わせを悪くしない」習慣
治療と同じくらい大切なのが、日々のセルフケアです。今日から以下のことを意識してみてください。
- 「唇は閉じて、歯は離す」: リラックスしている時、上下の歯は接触していないのが正常です(安静空隙)。無意識に歯が触れていることに気づいたら、すぐに離して深呼吸しましょう。
- 左右交互に噛む: 食事の際、意識的に左右の奥歯を使って噛むようにしましょう。
- 姿勢のリセット: スマホやパソコンを見る時、猫背や顎を突き出す姿勢になっていませんか?30分に1回は肩を回し、姿勢を正しましょう。
- 頬杖・うつ伏せ寝をやめる: これらは継続的な力が顎にかかり、骨格を歪ませる大きな原因になります。
6. まとめ:違和感は体からのメッセージです
噛み合わせの不調は、歯だけの問題にとどまらず、顎、筋肉、そして全身のバランスへと複雑に関係しています。 今回のセルフチェックは、そんな体からの「SOS」に気づくための良いきっかけになったのではないでしょうか。
「なんとなく調子が悪いけれど、どこに相談していいか分からない」 そんな不安を抱えている方は、ぜひ一度、お口の専門家である私たちにご相談ください。
東京・町田エリアで噛み合わせ治療をご検討なら、みどりの森デンタルクリニック町田へ。 当院では、患者様の感覚を大切にし、過度な治療は避けつつ、科学的根拠に基づいた「負担の少ない解決策」を一緒に探していきます。どうぞお気軽にご来院ください。