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口呼吸と噛み合わせの関係|東京で増える鼻炎世代への実践アドバイス

2025.11.28

2025年11月28日_口呼吸と噛み合わせの関係|東京で増える鼻炎世代への実践アドバイス

こんにちは。みどりの森デンタルクリニック町田の院長です。

「気づいたら、いつも口があいている」
「子どもの頃から鼻炎がひどくて、鼻で息をするのが苦手」
「いびきや口臭が気になってきたうえに、最近噛み合わせも不安」

東京・町田エリアでも、こうしたご相談は年々増えていると感じます。
花粉症や通年性アレルギー性鼻炎が当たり前になり、「鼻で呼吸する」こと自体がしんどい世代が、いま大人になり、子育て世代になりつつあります。

口呼吸は、乾燥やむし歯・歯周病リスクだけでなく、歯並びや噛み合わせとも深く関係する習慣です。
とはいえ、「口呼吸=悪い」と単純に決めつけるのではなく、なぜそうなっているのか、その背景を理解しながら、できる範囲で改善の糸口を探していくことが現実的だと考えています。

この記事では、

口呼吸と噛み合わせがどう関係するのか

鼻炎世代に特有のリスクと、よく見られる症状

今日からできるセルフチェックと生活の工夫

歯科で行う評価や治療の考え方

を、歯科医の立場からお話しします。
なお、ここでお伝えする内容はあくまで一般的なものであり、個々の診断・治療方針は、実際の診察にもとづき担当医が判断します。その点をご理解いただいたうえで、お読みいただければと思います。

 

目次

 

1. 「口で息をする」が当たり前になりつつある現状

 

クリニックで問診をしていると、「子どもの頃から鼻炎で」「年中鼻が詰まっていて…」というお話を本当によく伺います。花粉症シーズンだけでなく、ハウスダストやPM2.5、乾燥した空気など、都市部ならではの環境要因も重なり、「鼻呼吸がしづらい」のが半ば日常になっている方も少なくありません。

人間の身体は、とてもよくできていて、本来鼻で行うべき呼吸が難しいとき、生命を守るために「口から息を吸う」という代替ルートを自然と選択します。短期間であれば問題ありませんが、それが何年、何十年と続くと、「口で呼吸している状態」が当たり前になっていきます。

歯科の立場から見ると、この“当たり前”が、歯並びや噛み合わせ、顎の発育、顔つき、さらには姿勢や全身の不調にも少しずつ影響を与えているケースが目立つようになっています。「鼻炎くらい」と軽く考えられがちですが、呼吸の通り道が変わることは、じわじわとお口の環境を変えていく要因になり得ます。

 

2. なぜ口呼吸が噛み合わせに影響するのか

 

口呼吸と噛み合わせの関係を理解するうえで、舌の位置と唇の力が大きな鍵になります。

鼻で呼吸しているとき、舌は通常、上あご(口蓋)にふわっと貼りつくような位置に収まり、上あごの骨を内側から支えつつ、歯の並ぶスペースを保っています。一方、口呼吸が続くと、舌が下側に落ち込み、下の前歯の裏側に近い位置をうろうろしやすくなります。

その結果、上あごの発育がやや狭くなり、歯が並ぶスペースが不足して、出っ歯(上顎前突)やガタガタした歯並び(叢生)になりやすいと考えられています。また、口があきやすい状態では、唇を閉じる筋肉の働きが弱くなり、前歯を前方に支える力が減るため、歯が前に傾きやすくなります。

上下の顎の位置関係も変化します。口呼吸では、無意識のうちに顎を少し前方・下方に突き出すような姿勢になりやすく、これが続くと、下顎が前に出ぎみの噛み合わせや、奥歯に負担が集中する噛み方のクセがついてしまうことがあります。

もちろん、歯並びや噛み合わせは遺伝や骨格、指しゃぶりなど他の要素も絡み合って決まりますが、「口呼吸がその一因になりうる」という視点は、臨床上非常に重要だと感じています。

 

3. 鼻炎・アレルギー世代に見られる口まわりの特徴

 

長年鼻づまりと付き合ってきた方の口元を拝見すると、いくつか共通する特徴が見られることがあります。

例えば、唇がぽかんと開きやすい、上唇が少し乾燥ぎみで、いつも舌や前歯が見えている、上あごがやや狭く、歯列がV字型に近い、上の前歯が前方に傾き気味で、前歯同士の重なりが大きい、といった傾向です。

また、横顔を見ると、頭が前に出た姿勢になっており、それを支えるために首や肩の筋肉が常に緊張していることがあります。このような姿勢は、顎の位置にも影響し、噛み合わせのバランスにも少しずつ変化をもたらします。

もちろん、これらはあくまで「そういうことが多い」という一般的な傾向であり、すべての口呼吸の方に当てはまるわけではありません。ただ、「鼻炎だから仕方ない」で終わらせず、お口や全身への影響も含めて捉え直してみることは、今後のケアを考えるうえで大切な視点だと思います。

 

4. 大人になってから気づく“口呼吸×噛み合わせ”のサイン

 

口呼吸の影響は、子どもの発育期によく語られますが、大人になってからもさまざまな形で表れることがあります。

例えば、寝ている間のいびきや、朝起きたときの口の乾き、口臭の気になりやすさ。日中も口を閉じているつもりでも、上唇と下唇の間にわずかなすき間ができていることがあります。鏡で横顔を見たときに、顎のラインがぼやけ、頭が前に出ているように見える方もいます。

噛み合わせとの関連で言えば、前歯でうまく噛み切れず、食事のときに奥歯ばかり使っている、硬いものを避けるようになった、特定の歯だけが当たって痛くなる、詰め物や被せ物がよく欠ける、といった訴えの背景に、長年の口呼吸やそれに伴う噛み癖が隠れていることがあります。

中には、「歯並びはそこまで悪くないのに、顎やこめかみが常にだるい」「肩こりや頭痛が続いている」といった形で現れることもあり、歯科だけで完結しないケースも少なくありません。
こうした症状がすべて口呼吸由来というわけではありませんが、「呼吸の仕方も、噛み合わせの一部」として見直してみる価値はあると感じています。

 

5. 今日からできるセルフチェックと生活での工夫

 

口呼吸と噛み合わせを意識し始めた方に、診療室でよくお伝えしているのは、「まずは自分の呼吸と口の状態に気づくこと」です。

ふとした瞬間に、「今、鼻で息をしているか、口で息をしているか」をチェックしてみてください。パソコン作業中、スマートフォンを見ているとき、テレビを見ているとき、電車に乗っているとき──意外と多くの場面で口が開いていることに気づく方もいらっしゃいます。

また、「ベロの位置」も一緒に確認してみましょう。何も意識していないときに、舌先がどこに触れているか。上あごの前歯の少し後ろあたり(スポットと呼ばれる位置)に軽く触れているのが、理想的な位置のひとつと言われています。舌が常に下の前歯の裏側に当たっている場合は、口呼吸や噛み合わせへの影響が出やすい状態かもしれません。

生活の工夫としては、寝る前に鼻うがいや加湿を行い、鼻呼吸をしやすい環境を整えること、長時間のデスクワークでは、ときどき姿勢をリセットして、頭が前に出すぎていないか、顎を突き出していないかを意識することなどが挙げられます。

もちろん、重い鼻炎・副鼻腔炎などがある場合には、耳鼻科での診察・治療が優先されるべきです。歯科としては、そのうえでできることを一緒に考えていく形になります。

 

6. 歯科医院で行う評価と治療の選択肢

 

口呼吸と噛み合わせが気になって受診された場合、当院ではまず、いつ頃からどのような症状があるのか、鼻炎やアレルギーの有無、いびきや睡眠の質なども含めてお話を伺います。そのうえで、お口の中の状態と噛み合わせを丁寧に確認します。

歯並びだけでなく、舌の大きさや位置、上あごの幅、唇を閉じたときの筋肉の緊張具合などを総合的に評価し、必要に応じてレントゲンや口腔内写真、模型採得などを行います。そこで、「歯並びや顎の位置が呼吸に影響していそうか」「口呼吸が噛み合わせに影響していそうか」といった点を整理していきます。

治療の選択肢は、状態によって大きく変わります。軽度の口呼吸であれば、舌や唇の使い方を意識していただくトレーニングや、就寝時の姿勢の工夫など、生活面のアドバイスが中心になることもあります。歯並びや顎の位置に明らかな問題がある場合には、矯正治療が候補に挙がることもあります。

重要なのは、「口呼吸だから、すぐに矯正」という短絡的な発想ではなく、

現状どの程度、噛み合わせに影響が出ているのか

ご本人がどこまで改善を望んでいるのか

矯正以外の方法でできる工夫は何か

といった点を一緒に整理したうえで、その方にとって現実的で納得できる方針を選ぶことだと考えています。

 

7. お子さんがいる方へのアドバイス

 

口呼吸と噛み合わせのテーマは、お子さんのいるご家庭にとっても、とても大切な問題です。
「寝ているときに口があいている」「いつも口元がぽかんとしている」「いびきが大きい」「鼻水がいつも出ている」といった様子がある場合、まずは耳鼻科で鼻や喉の状態を診てもらうことをお勧めします。

そのうえで、歯科としては、歯並びや顎の成長、舌や唇の使い方をチェックし、必要に応じて早めの段階での介入を検討します。成長期は、顎の骨の発育を利用しながら、呼吸や噛み合わせに良い方向へ誘導していける可能性がある時期でもあります。

ただ、「今すぐ装置を入れるべきかどうか」は、お子さんの年齢や性格、生活環境によっても変わります。大切なのは、不安になりすぎて過度な治療に走ることではなく、「今できること」と「将来の選択肢」を整理しながら、長い目で見守っていくことだと感じています。

親御さんには、「口を閉じて鼻で息をすることが多いかどうか」「食事のとき、よく噛んでいるか」「姿勢が極端に前かがみになっていないか」といった点を、日常生活の中で温かく見守っていただけたらと思います。

 

8. まとめ:呼吸習慣を見直すことが、噛み合わせケアの第一歩に

 

口呼吸と噛み合わせの関係は、一言で説明できるほど単純ではありませんが、東京のように鼻炎やアレルギーに悩む方が多い地域では、見逃せないテーマだと感じています。

口呼吸そのものを完全にやめることが難しい場合もありますが、

「今、自分は鼻で息をしているのか、口で息をしているのかに気づく」

「舌の位置や姿勢をほんの少し意識してみる」

「鼻や喉の症状がつらいときは、早めに専門科を受診する」

こうした、小さな一歩の積み重ねが、将来の噛み合わせやお口の健康を守る力になります。

もし、口呼吸や鼻炎と噛み合わせのことで気になることがあれば、まずは一度、お話を聞かせてください。みどりの森デンタルクリニック町田では、誇大な表現や過度な宣伝を避けながら、患者さんお一人おひとりの背景に合わせた現実的なアドバイスと治療をご提案できるよう努めています。

 

少しでも参考になれば幸いです。
自身の歯についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

 

町田駅ターミナル口徒歩3分の歯医者・歯科

みどりの森デンタルクリニック

住所:東京都町田市原町田4-9-8 サウスフロントタワー町田シエロ 2階

TEL:042-850-9306

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