ブログ
治らない肩こりや頭痛、実は「歯」のせい?歯科医が教える噛み合わせと全身の関係
2025.06.03

「整体やマッサージに通っても、すぐに肩こりがぶり返してしまう」 「パソコン作業をしていると、無意識に歯を食いしばっている気がする」 「食事のあと、なんとなく顎が重だるい……」
もし、あなたがこのような「原因のはっきりしない不調」を感じているなら、その原因はお口の中、具体的には「噛み合わせのバランス」にあるかもしれません。
私たちの頭の重さは、ボーリングの球ほど(約5kg)もあります。その重たい頭を支え、バランスを取るための重要なスイッチの一つが「噛み合わせ」です。ここがわずか数ミクロンずれるだけで、ドミノ倒しのように全身の筋肉や骨格に歪みが生じることがあるのです。
この記事では、一見関係なさそうに見える「体の不調」と「歯」の深い関係について、歯科医の視点から丁寧に解説します。 「私の症状もそうなのかな?」と少しでも気になった方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
- その不調、噛み合わせがサインかも?(主な症状)
- なぜ「歯」が悪いと「全身」に影響が出るのか
- 放置は危険!噛み合わせの悪化が招く「負の連鎖」
- あなたは大丈夫?噛み合わせが悪くなる「意外な原因」
- 歯科医院ではどう治す?検査と治療のアプローチ
- まとめ:違和感を感じたら、早めの相談を
1. その不調、噛み合わせがサインかも?(主な症状)
噛み合わせが悪いというと、「物が噛みにくい」という食事の場面をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、実際にはお口の中だけでなく、顎や顔、さらには全身にさまざまなサインが現れます。
院長である私の経験上、以下のような自覚症状がある場合は注意が必要です。
お口周りのサイン:
- 口を開けると、顎の関節が「カクカク」「ジャリジャリ」と鳴る。
- 大きく口を開けようとすると、引っかかりや痛みがある。
- 特定の歯だけが強く当たり、冷たいものがしみたり(知覚過敏)、欠けたりしやすい。
- 舌の側面や頬の内側に、歯の痕(波打ったような跡)がついている。
全身のサイン:
- 慢性的な肩こりや首の張りがあり、マッサージをしても改善しない。
- 偏頭痛や、目の奥が重くなるような疲れを感じる。
- 朝起きた時に、顎が疲れていたり、首筋が張っていたりする。
- 顔の左右差(歪み)が気になってきた。
これらは単なる「疲れ」として見過ごされがちですが、実は体が発している「噛み合わせのSOS」である可能性が高いのです。
2. なぜ「歯」が悪いと「全身」に影響が出るのか
「たかが歯の接触の問題で、なぜ肩こりや頭痛が起きるの?」と不思議に思われる方もいるでしょう。これには、人体の構造的なメカニズムが関係しています。
2-1. 筋肉の連動と「ドミノ倒し」のメカニズム
下顎(したあご)は、頭の骨から筋肉や靭帯によってぶら下がっている、ブランコのような構造をしています。 もし、噛み合わせが左右どちらかにズレていると、下顎は正しい位置で噛むことができず、無意識にズレた位置でバランスを取ろうとします。
すると、顎を支える「咀嚼筋(そしゃくきん)」という筋肉が常に緊張状態になり、硬直します。咀嚼筋は首や肩の筋肉ともつながっているため、顎の緊張が首へ、首の緊張が肩へと伝わり、慢性的なコリや痛みを引き起こすのです。
2-2. 脳へのストレスと自律神経への影響
噛み合わせが悪い状態は、脳にとってもストレスです。 「しっかり噛めない」「顎の位置が定まらない」という感覚は、無意識のストレスとして蓄積され、自律神経のバランスを乱すことがあります。その結果、イライラしやすくなったり、集中力が低下したり、不眠などの不調につながるケースも報告されています。
3. 放置は危険!噛み合わせの悪化が招く「負の連鎖」
「少し気になるけれど、生活できないほどではないし……」と放置してしまうのが、噛み合わせトラブルの怖いところです。 適切な処置をせずに放っておくと、以下のような深刻なリスクを招くことがあります。
- 歯の寿命を縮める: 一部の歯に過度な力がかかり続けることで、歯にヒビが入って割れてしまったり(破折)、歯を支える骨が溶けて歯周病が悪化したりします。これを「咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)」と呼び、健康な歯を失う大きな原因となります。
- 顎関節症の重症化: 口が指1本分しか開かなくなったり(開口障害)、食事のたびに激痛が走ったりと、日常生活に支障をきたすレベルまで悪化することがあります。
- 顔貌の変化: 片側だけで噛む癖がつくと、筋肉の発達に左右差が出て、顔の歪みやフェイスラインの崩れにつながることがあります。
4. あなたは大丈夫?噛み合わせが悪くなる「意外な原因」
噛み合わせが悪くなる原因は、生まれつきの骨格や歯並びだけではありません。実は、日々の生活習慣が大きく影響しています。
- 虫歯や、抜けた歯を放置して、歯が動いてしまった。
- 過去に入れた詰め物や被せ物の高さが合っていない。
- 頬杖をつく癖や、うつ伏せ寝の習慣がある。
- 片側の歯だけで噛む癖(偏咀嚼)がある。
4-1. 無意識の癖「TCH(歯列接触癖)」に注意
特に最近、問題視されているのが「TCH(Tooth Contacting Habit)」です。 本来、リラックスしている時、上下の歯は接触せず、数ミリの隙間が空いているのが正常です。しかし、パソコン作業やスマホ操作、ストレスなどで、無意識に上下の歯を接触させ続けている方が増えています。 「噛み締める」ほど強い力でなくても、長時間接触しているだけで筋肉は緊張し続け、噛み合わせや顎への負担となります。 ふとした瞬間に、上下の歯が触れていないか、ご自身で確認してみてください。
5. 歯科医院ではどう治す?検査と治療のアプローチ
噛み合わせの治療は、「削って治す」だけが正解ではありません。当院では、患者様のお口の状態に合わせて、段階的なアプローチを行います。
5-1. まずは徹底的な「診断」から
いきなり歯を削るようなことはしません。まずは原因を突き止めることが最優先です。
- 問診: 生活習慣やストレス、痛みの出るタイミングなどを詳しく伺います。
- 筋触診: 顎や首、肩の筋肉に触れ、コリや緊張の左右差を確認します。
- 咬合診: 「咬合紙」という赤い紙や青い紙を噛んでいただき、歯の当たり方をミクロン単位でチェックします。
- 画像診断: レントゲンやCTで、顎関節の骨の状態を確認します。
5-2. 患者様に合わせた治療の選択肢
診断結果に基づき、最適な治療法をご提案します。
- スプリント療法(マウスピース): 夜間にマウスピースを装着していただき、顎の関節や筋肉への負担を軽減します。まずはこれで顎をリラックスさせ、本来の正しい噛み合わせの位置を探ることもあります。
- 咬合調整(ごく微量の研磨): 強く当たりすぎている詰め物や歯の一部を、髪の毛1本分程度調整するだけで、劇的に楽になることがあります。
- 被せ物のやり直し・矯正治療: 噛み合わせのズレが大きく、全体のバランスを整える必要がある場合は、被せ物の作り直しや、矯正治療(ワイヤーやマウスピース)を検討します。
6. まとめ:違和感を感じたら、早めの相談を
噛み合わせの不調は、自然に治ることはほとんどありません。むしろ、年齢とともに歯がすり減り、変化していく中で、症状が複雑化していくことが多いのです。
「なんとなく顎がだるい」「原因不明の肩こりが続く」 そんな時は、整体やマッサージに行かれる前に、一度「歯医者さん」という選択肢を思い出してください。お口のバランスを整えることが、全身の健康を取り戻す近道になるかもしれません。
町田で噛み合わせの違和感や、顎の痛みでお悩みの方は、みどりの森デンタルクリニック町田へご相談ください。 当院では、お口の中だけでなく、顎の動きや全身のバランスまで考慮した丁寧な診断を行い、患者様お一人おひとりに合わせた治療計画をご提案いたします。「こんなことで相談していいのかな?」と遠慮せず、まずはお話を聞かせてください。