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子どもの噛み合わせ、見逃していませんか?成長期に大切な歯並びの話
2025.09.05
こんにちは。みどりの森デンタルクリニック町田です。
「乳歯はそのうち抜けるから大丈夫」「様子を見ていれば整うはず」——そう思っているうちに、成長とともに噛み合わせのズレが固定化してしまうことがあります。子どもの歯並びは、“今どの時期に何が起きているか”を理解して観察することが何より大切です。
本記事では、成長期に起こる口腔内の変化、家庭で気づける要注意サイン、受診のタイミング、歯科での評価と主な対応を、歯科医の視点でわかりやすく解説します。内容は一般的な情報で、最終判断は個別の診察に基づきますが、「今、何を見ればよいか」の指針としてご活用ください。
※本記事は一般的な情報提供です。適切な対処は実際の診察・検査により個別に判断します。
成長期の口の中では何が起きている?(年齢ごとの要点)
子どもの歯並びは段階的に大きく変化します。時期ごとのポイントを押さえると、観察の“勘どころ”が見えてきます。
乳歯列期(3〜5歳ごろ)
- 乳歯だけの時期。将来のスペース確保のため、歯間に発育空隙(すき間)が少しあるのが理想。
- すき間が全くない/重なりが始まる → 将来の叢生(凸凹)リスクのサイン。
前期混合歯列期(6〜8歳ごろ)
- 6歳臼歯(第一大臼歯)と前歯の生え替わり期。
- 前歯の反対咬合・交叉咬合・開咬は、その後に大きく影響。早めの相談が有用です。
後期混合歯列期(9〜11歳ごろ)
- 犬歯・小臼歯が交換。スペース争いが激化し、八重歯・凸凹が表面化。
- 乳歯のむし歯や早期脱落 → スペース喪失で後の並びに影響。
永久歯列完成期(12歳以降)
- 第二大臼歯が生え、咬合が固まる段階。
- 成長誘導よりも整列(本格矯正)・咬合の仕上げが中心。
家庭で見逃しやすい“要注意サイン”
次のサインが2〜3週間以上続く、または左右差・痛みを伴う場合は歯科にご相談ください。
- 前歯が上下逆にかみ合う/片側のみ交叉している
- 前歯が閉じない(開咬)・食べ物を前歯で噛み切りにくい
- 口を閉じると下顎が横にずれる、笑うと口角の高さが違う
- 口呼吸が目立つ/いつも口がポカンと開いている
- 指しゃぶり・舌を前に出す癖・頬杖・猫背が続いている
- 食事は片側だけで噛みがち、硬い物を嫌がる
- 乳歯のむし歯・早期脱落(スペースが閉じ始める)
- 発音の癖(サ行・タ行)や睡眠時の歯ぎしり
よくある生活習慣と噛み合わせへの影響
口呼吸・鼻づまり
舌位が下がり、上顎の横方向成長が妨げられることがあります。アレルギー性鼻炎が疑われる場合は、歯科と耳鼻科の連携が有効。
指しゃぶり・長期のおしゃぶり
開咬・上顎前突(いわゆる出っ歯)傾向を助長。段階的な卒業(時間や場所の限定→代替行動)を支援します。
舌癖(低位舌・前突癖)
飲み込みや発音時の持続的な力が歯列に影響。口腔筋機能療法(MFT)で舌・口唇の使い方を練習します。
頬杖・うつ伏せ寝・前傾姿勢
片側への圧が続くと、下顎の偏位や顔面非対称を助長。学習・デバイス使用時の姿勢環境を整えましょう。
受診のタイミングと“早めに相談”したいケース
- 初回相談の目安:6〜7歳 … 6歳臼歯と前歯がそろう時期。問題がなければ定期観察で十分。
- 再チェックの目安:9〜10歳 … 犬歯・小臼歯の交換期。スペース管理や成長誘導の可否を検討。
“早めに”相談したいケース: 前歯の反対咬合、片側交叉咬合、顎の偏位、発音・咀嚼の明らかな困難、乳歯の早期喪失。
成長を味方にできる期間に対応することで、将来の負担を減らせる可能性があります。
歯科で行う評価と流れ(町田での初診イメージ)
- 問診・カウンセリング: 気になる点・生活習慣・既往歴を丁寧に確認
- 視診・触診: 噛み合わせの接触、顎の動き、口唇・舌の使い方を観察
- 記録: 口腔内写真・顔貌写真、必要に応じ型取りや口腔内スキャン
- 画像検査: レントゲン等で歯胚・骨格・生え替わり状況を確認(必要性と被ばく配慮を説明)
- 説明: 現状・考えられる原因・今後の選択肢(経過観察/生活指導/装置の検討)をわかりやすく共有
無理に装置を勧めることはありません。“今できること”から段階的に進める方針です。
子どもの噛み合わせ:主な対応の選択肢
症状・年齢・成長段階に応じて、以下を組み合わせます(適応は個別判断)。
- 生活指導・MFT(口腔筋機能療法): 舌・口唇・頬の筋機能を整え、鼻呼吸・正しい嚥下・舌の位置(上顎スポット)を練習。装置前後の基礎体力づくりに。
- スペース管理(保隙): 乳歯の早期脱落時、永久歯の生える場所を守り、後の凸凹を軽減することがあります。
- 上顎の横幅拡大・成長誘導: 上顎が狭い/交叉咬合などで適応を慎重に検討。成長期に限り有効な場面があるため時期の見極めが重要。
- 部分矯正/本格矯正: 歯の移動が必要な場合に時期と方法(ワイヤー、マウスピース等)を選択。見た目だけでなく“機能として噛める”設計を重視。
※いずれも万能ではありません。メリットと注意点を個別に説明し、保護者・お子さまと相談して決めます。
今日からできるホームケアのコツ
- 鼻呼吸の習慣化: 寝室の湿度管理、必要に応じて鼻うがい・耳鼻科受診
- 舌の位置: 上顎の“スポット”に舌先を置く意識(飲み込み時も)
- よく噛む食習慣: 硬さ・大きさは年齢に合わせて段階的に。左右交互に噛む
- 姿勢と環境: 机と椅子の高さ、画面の位置を調整し長時間の前傾を避ける
- 癖の卒業: 指しゃぶり・頬杖は代替行動(握りグッズ・タイマー等)で少しずつ
- 定期チェック: 仕上げ磨き・フロス、乳歯のむし歯やグラつきの経過を観察
まとめ
子どもの噛み合わせは、「いつ・何を見るか」で結果が変わります。乳歯列から混合歯列へ移る6〜7歳、スペースが大きく動く9〜10歳は、特に観察と相談に適したタイミング。早期介入が必要なケースもあれば、経過観察と生活指導が最善のこともあります。
東京・町田エリアで「見守っていて不安」「どの時期に何をすれば良いか迷う」という方は、まずは現状の把握から。みどりの森デンタルクリニック町田では、根拠とわかりやすい説明を大切に、一人ひとりに合った進め方をご提案します。お気軽にご相談ください。
少しでも参考になれば幸いです。
自身の歯についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
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